督促の電話や書面で「このままですと法的措置を講じざるを得ません」などと言われることがあります。
漠然とした表現ですが、具体的には賃貸借契約の解除および明け渡し請求(強制退去)などの法律手段を指しています。

内容証明郵便での契約解除通知
法的措置の第一段階は、賃貸借契約の解除と明け渡し請求の意思表示です。
全保連の場合、滞納が重なるとオーナーに代わって内容証明郵便を送付し、「期限までに支払わなければ契約を解除し退去してもらいます」という通知を行います。

訴訟提起(明け渡し請求訴訟)
契約解除通知後、それでも支払い・退去がなされない場合、全保連(もしくはオーナー)は裁判所に明け渡し請求訴訟を提起します。
これは借主を被告とし、滞納家賃の支払いと物件の明け渡し(退去)を求める裁判です。
裁判所から訴状が届くのがこの段階です。

判決取得
訴訟の結果、借主が滞納事実を争えなければ、裁判所はオーナー側勝訴の判決を下します。
「被告は賃貸借契約上の義務に基づき○○号室を明け渡せ」との内容です。
借主が出廷せず欠席すれば、もっと早く判決が確定します。

強制執行(強制退去)
判決に基づき、裁判所に強制執行の申し立てを行い、実際の強制退去が執行されます。
執行官が債務者(借主)に明け渡しを命じ、従わなければ物理的に部屋から排除します。
家具や荷物も運び出され、鍵も交換されます。

「法的措置」とは最終的にここまでを含みます。
債権回収(差押え等)
明け渡し後も滞納家賃が残っていれば、保証会社(またはオーナー)は給料や財産の差押えといった手続きも取れます。
例えば勤務先が分かっていれば給与差押命令を出し、給料から強制的に天引きする、といった措置です。
銀行口座や車などの資産も差し押さえ対象になります。

要するに、全保連が「法的措置」と言うとき、それは裁判沙汰にして強制退去+未払い家賃の強制回収までやりますよという意味合いです。
決してハッタリではなく、実際に全保連はこのプロセスを踏んできます。
「法的措置」という言葉には曖昧さがありますが、上記のような一連の手続きを指していると理解しましょう。
対処法
「法的措置を検討します」と言われたら、猶予はほとんど残っていないと覚悟してください。
まだ訴訟前であれば、せめて契約解除を撤回してもらえるよう未納家賃を全額支払うなどの対応をすぐ取って下さい。
訴訟を起こされてしまったら、裁判所に出廷して分割払いの和解を申し立てることも可能です。
ただ、保証会社側が和解に応じず強制退去を強く求める場合、判決は避けられません。

判決が出て強制執行されるより、自主退去した方が余計な費用を請求されにくくなります。
いずれにせよ、「法的措置」という言葉を聞いた段階で悠長なことは言っていられません。まさに土壇場です。
ここから先は法律専門家の力を借りることも検討しつつ、最善を尽くしましょう。
逆に、まだ「法的措置」という言葉が出ていない間に解決に動けば、そこまで事態を深刻化させずに済みます。
