
家賃の支払いが遅れてしまい、保証会社である全保連から連絡が来ると、誰でも不安になるものです。特に、まとまったお金が用意できず、「滞納分を分割で支払えないだろうか」と考えるのは自然なことでしょう。
この記事では、その疑問に率直にお答えします。全保連の公式な見解と、実際の現場での対応にはどのような違いがあるのか。そして、もしあなたが分割払いを希望する場合、どのように相談すれば可能性を高めることができるのかを、具体的なステップに沿って解説します。
全保連の公式見解と実際の対応
まず知っておくべきなのは、全保連の公式な立場です。公式サイトの「よくある質問」には、次のように記載されています。
Q7 滞納分の家賃の支払いは分割でもよいですか。
当社が立替た滞納分家賃の分割によるお支払いは受け付けいたしかねます。
ご了承ください。
この通り、原則として分割払いは認められていません。しかし、だからといって諦める必要はありません。なぜなら、保証会社にとって最も避けたいのは、家賃が全く回収できなくなることだからです。そのため、状況によっては相談に応じ、分割での支払いを認めてくれるケースも実際に存在します。
重要なのは、公式には「不可」とされているからと何もしないのではなく、支払い意思があることを示し、誠実に相談を持ちかけることです。
分割払いの相談をするときの具体的な進め方
分割払いの相談を成功させるためには、ただお願いするだけでなく、しっかりとした準備が必要です。以下の3つのステップを参考にしてください。
ステップ1:家計の状況を正確に把握する
まず、なぜ一括で支払えないのか、そして今後どのように支払っていくのかを具体的に説明するために、ご自身の家計状況を正確に把握しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 収入と支出を書き出す | 給料などの収入と、家賃、食費、光熱費、通信費といった毎月の支出を全てリストアップします。 |
| 返済可能額を算出する | 支出を見直し、毎月いくらなら滞納分の返済に充てられるかを計算します。この具体的な金額が、交渉の土台となります。 |
ステップ2:具体的な返済計画を立てる
次に、算出した返済可能額に基づいて、完済までの具体的な計画を立てます。この計画が、あなたの支払い意思を客観的に示す材料となります。
| 計画項目 | 説明 |
|---|---|
| 滞納総額 | 現在滞納している金額の合計 |
| 毎月の返済額 | 毎月いくらずつ支払うか |
| 完済までの期間 | 何回に分けて支払うか(分割回数) |
「いつまでに、毎月いくらずつ支払って完済する」という明確な計画を提示できるように準備しましょう。
ステップ3:電話で誠実に相談する
準備が整ったら、全保連の担当者に電話で連絡します。その際は、以下の点を心がけてください。
- 正直に状況を話す: 支払いが遅れた理由と、現在の経済状況を正直に伝えます。
- 丁寧な態度で話す: 感情的にならず、あくまで低姿勢で相談することが大切です。
- 作成した返済計画を提示する: 「この計画で支払っていきたい」という具体的な提案をします。
もし分割払いが認められた場合、その返済計画は必ず守らなければなりません。約束を守ることが、信頼関係を維持する上で最も重要です。万が一、計画通りに支払えない場合は、必ず支払日より前に連絡を入れましょう。
滞納を放置するリスク
何の連絡もせずに滞納を続けると、状況は悪化の一途をたどります。最初は電話や書面での督促ですが、次第に訪問督促、内容証明郵便による契約解除通知と、対応は厳しくなっていきます。最終的には法的手続きを経て強制退去に至る可能性もあり、そうなれば金銭的な負担だけでなく、信用情報にも影響が及び、今後の賃貸契約が困難になる恐れがあります。
まとめ:早めの行動と誠実な相談が解決の鍵
全保連の家賃滞納における分割払いは、公式には認められていませんが、交渉の余地はあります。重要なのは、滞納してしまった事実から目を背けず、できるだけ早く、誠実に対応することです。
この記事で紹介したステップを参考に、まずはご自身の状況を整理し、具体的な返済計画を立てた上で、全保連に相談してみてください。あなたの真摯な行動が、解決への第一歩となるはずです。
もし、どうしても自力での支払いが困難な場合は、お住まいの自治体の相談窓口や、社会福祉協議会、法テラスといった公的機関に助けを求めることも検討しましょう。