全保連からの督促連絡をこのまま無視し続けたら一体どうなってしまうのでしょうか?
結論から言えば、無視は最悪の選択です。
電話や書面を無視して逃げ回る行為は、15年以上の実務経験者によれば「事態を悪化させる最も多いパターン」だといいます。

▼ステップ1:緊急連絡先や職場への連絡
あなたと連絡がつかない場合、全保連は賃貸契約時に届け出た緊急連絡先や勤務先にも連絡を試みます。
例えば実家の両親を緊急連絡先にしていたら親御さんに電話がいきますし、職場の連絡先が登録されていれば会社に電話がかかってくることもあります。
実際に「保証会社から会社に電話が来て困った」というケースも報告されています。
「本人に連絡が取れない場合に備えての緊急連絡先」ですから、本当に本人と連絡が付かないと判断されれば実家や友人、勤務先にまで連絡が行くのは現実に起こり得ます。

さらに、電話や郵便での督促を無視し続け支払いのメドも立たない状況が続くと、全保連の担当者が自宅に直接訪問してくることがあります。
玄関先で支払いを促されたり、在宅かどうかの確認をされたりするわけです。
突然督促担当者が家に来るというのは想像するだけで恐ろしいものです。
しかも前述のとおり時間帯も選ばれない可能性があり、夜遅くや早朝に来訪されるケースも報告されています(※利用者の体験談)。

▼ステップ2:内容証明郵便による最終通告
滞納開始から約3か月が経過しようとする頃、全保連は法的手続きの準備に入ります。
まず届くのが内容証明郵便による督促状です。
そこには「○日までに滞納家賃を支払わない場合、契約を解除し退去してください」という趣旨の最後通告が記されています。
この内容証明は賃貸契約の解除予告でもあります。

▼ステップ3:明け渡し訴訟の提起
内容証明による期限までに支払いが行われない、かつ滞納者が居座りを続けている場合、裁判所から訴状と出廷命令が届きます。
これは全保連が大家に代わって建物明渡訴訟(賃貸物件からの退去を求める裁判)を起こしたことを示しています。
裁判所からの呼出状が届いた段階で事態は深刻ですが、それすら無視してしまう人もいます。
しかし出廷命令を無視すると、あなたが不在のまま裁判が進行し、欠席裁判による判決が下されます。
裁判所は滞納の事実をもとに「滞納者を退去させて良い」という判決を下すでしょう。

▼ステップ4:強制退去(強制執行)
明渡し訴訟の判決が確定すると、全保連は速やかに強制執行の手続きに移ります。
判決から約1か月後には強制執行が開始されるケースもあります。
強制執行となれば、裁判所の執行官が自宅にやって来て、あなたに退去を命じます。
荷物も強制的に運び出され、鍵も交換されて住めなくなるでしょう。

退去させられればもう督促は来ないのでは?と思うかもしれません。
しかし、それで終わりではありません。
退去後も滞納家賃の支払い義務は消えないため、全保連はあなたに対して引き続き返済を求めます。
むしろ退去時には原状回復費用(修繕費)や訴訟費用なども請求に上乗せされる可能性が高く、滞納額は膨れ上がっていることが多いです。
それでも連絡を無視し続けたり支払いに応じなかったりすれば、給与や財産の差し押さえといった強制執行手段に発展するおそれもあります。
現実に、裁判で敗訴した滞納者に対し、給料の差押え(会社から給与が支払われる前に滞納家賃分を天引き)や家財道具の差押えが実行されるケースもあります。
