家賃滞納すると全保連から連帯保証人にどんな連絡がいく?

家賃滞納すると全保連から連帯保証人にどんな連絡がいく?

「家賃の支払いが少し遅れてしまった…」
「保証人になってくれた親や友人には、できれば知られたくない…」

家賃の支払いが遅れると、多くの方がそんな不安を抱えます。誰にも相談できず、どうすればいいか分からずに時間が過ぎていくのは、精神的にも辛いものです。

この記事は、そうした状況にある方々のために、不安を少しでも和らげ、問題を解決するための具体的な方法を解説するものです。

ご安心ください。適切な知識を持って迅速に行動すれば、保証人への連絡を回避できる可能性は十分にあります。

この記事では、不動産管理の実情も踏まえながら、

  • 実際、いつ頃に保証人へ連絡がいくのか?
  • どのような内容の電話や手紙が届くのか?
  • 保証人への連絡を避けるために、今すぐできることは何か?

といった疑問に、分かりやすくお答えします。現在、保証人になっている方や、これからなる可能性がある方にとっても、知っておくべき重要な情報です。

一人で悩まず、まずは現状を把握することから始めましょう。この記事を読めば、何をすべきかが見えてくるはずです。

【時系列】家賃滞納から保証人への連絡までの流れ

家賃を滞納したからといって、すぐに保証人へ連絡がいくわけではありません。大家さんや管理会社も、まずは契約者本人と連絡を取り、穏便に解決したいと考えています。一般的な流れを知っておくだけでも、落ち着いて対応できるでしょう。

一般的な督促のステップ

多くの場合、督促は以下の流れで進みます。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、契約者の対応次第でこの流れは変わるということを念頭に置いてください。

期間の目安 アクション 主な内容
滞納発生~1週間 本人への電話・メール 「引き落としができていないようです」など、入金忘れの可能性を考慮したソフトな連絡。
1週間~1か月 本人への督促状 書面での催促。「〇日までにお支払いください」と、支払いをお願いする内容。
1~2か月 保証人への連絡 本人と連絡が取れない、または支払いの約束が守られない場合に、保証人へ状況説明の連絡が入る。
3か月以上 内容証明郵便の送付 契約解除の可能性を示唆する最終通告。法的手続きの準備段階。
それ以降 法的措置 裁判所を介した支払い督促や、明け渡し請求(強制退去)などの手続きへ移行。

保証人への連絡タイミングを左右する3つのポイント

「1か月くらいなら大丈夫」と考えるのは早計です。保証人への連絡が早まるか、待ってもらえるかを左右するのは、主に次の3つのポイントです。

ポイント①:契約者本人の対応

これが最も重要です。管理会社が一番懸念するのは、滞納そのものよりも契約者と連絡が取れなくなることです。支払う意思があるのか、そもそも無事なのかが分からない状況は、管理会社を不安にさせます。その結果、安否確認の意味合いも込めて、保証人への連絡を早めることにつながります。

逆に、支払いが遅れる場合でも、

  • 自分から先に「支払いが遅れる」と連絡を入れる
  • 正直に事情を話し、具体的な支払い日を約束する
  • その約束を守る

といった誠実な対応をすれば、管理会社も事情を考慮し、支払い猶予に応じてくれることがほとんどです。一本の電話が、保証人への連絡を防ぐ上で非常に重要です。

ポイント②:賃貸借契約書の内容

あなたが署名した賃貸借契約書に、滞納時の対応について記載があるか確認してみましょう。「滞納後〇日で保証人に通知する」といった特約が定められている場合もあります。

ポイント③:家賃保証会社の利用

最近では、親族などが保証人になる代わりに「家賃保証会社」を利用するケースが主流です。保証会社を利用している場合、滞納が発生すると、まず保証会社が大家さんに家賃を立て替え払いします。その後、保証会社からあなたへ立て替え分の請求が来ます。保証会社は営利企業であるため、督促はシステム化されており、比較的迅速かつ事務的に進む傾向があります。契約内容によっては、滞納後、早い段階で保証人に連絡がいく可能性も考慮しておきましょう。

保証人へはどんな連絡が来るのか?

実際に保証人に連絡がいく場合、どのような電話や手紙が届くのでしょうか。高圧的な態度で連絡が来るのでは、と心配になるかもしれませんが、その可能性は低いでしょう。

連絡は「丁寧な相談」から「書面」へ

最初の連絡は、状況確認を目的とした丁寧な電話から始まるのが一般的です。そこで解決しない場合、記録が残る書面での連絡へと段階的に移行します。

  • 第一段階:電話
    「〇〇様(保証人)のお電話でいらっしゃいますか?私、〇〇(契約者)様がお住まいの物件を管理しております、株式会社〇〇の者です。実は、〇〇様の〇月分のお家賃の入金が確認できておらず、ご本人様とも連絡が取りづらい状況でして…」
    このように、あくまで「ご相談」という形で、丁寧な口調で連絡が来ることがほとんどです。
  • 第二段階:書面(普通郵便)
    電話で連絡が取れない場合や、話が進展しない場合に、「家賃滞納に関するお知らせ」といった表題の書面が届きます。内容は電話とほぼ同じですが、書面になることで、より正式な通知という性質を帯びます。
  • 最終段階:書面(内容証明郵便)
    これは、郵便局が「いつ、誰が、どんな内容の文書を送ったか」を公的に証明する郵便です。法的手続きへ移行する前の最終警告と見なされ、受け取った側にも事態の深刻さが伝わります。

伝えられる内容

電話や書面で伝えられるのは、感情的な説教などではなく、主に以下の4つの客観的な情報です。

  1. 滞納の事実:「〇月分の家賃が未納です」
  2. 滞納額:「滞納額は、〇円です」
  3. これまでの経緯:「ご本人には再三ご連絡していますが、お支払いがありません」
  4. 保証人へのお願い:「つきましては、ご本人様とお話し合いの上、お支払いいただくことは可能でしょうか」

このように、契約者本人に代わって、保証人に状況を説明し、支払いを要請するという、事務的かつ法的な責任を問う内容になります。

「保証人」と「連帯保証人」の責任の重大な違い

「保証人」と「連帯保証人」を同じものだと考えているなら、それは大きな誤解です。「連帯」という言葉が付くことで、法的な責任は格段に重くなります。

連帯保証人には認められない「3つの権利」

通常の「保証人」には、法律で次の3つの権利が認められています。これらは、保証人を保護するためのものです。しかし、「連帯保証人」にはこれらの権利がなく、契約者本人と全く同等の支払い義務を負います。

権利の種類 通常の「保証人」 「連帯保証人」
催告の抗弁権
(先に本人に請求して、と主張する権利)
あり なし
検索の抗弁権
(本人の財産から先に差し押さえて、と主張する権利)
あり なし
分別の利益
(他の保証人と責任を分担する権利)
あり なし

つまり、連帯保証人になった場合、

  • 大家さんから支払いを請求されたら、「先に本人に請求してください」とは言えません。
  • 契約者本人に支払い能力があっても、大家さんは連帯保証人の給与や預金を先に差し押さえることができます。
  • 他に連帯保証人がいても、一人で滞納額の全額を支払う義務があります。

このように、連帯保証人とは「契約者が払えない時に代わりに払う人」ではなく、「契約者本人と全く同じ立場にある、もう一人の契約者」なのです。そのため、大家さんからの正当な請求を拒否することはできません。

【保証人の方へ】連絡が来た時の正しい初動

ある日、管理会社から滞納の連絡が来たら、誰でも動揺するでしょう。しかし、ここで冷静に対応することが、問題を最小限に抑える鍵となります。

すぐに支払う前に、まず確認すべき3つのこと

慌てて「分かりました、払います」と答える前に、まずは状況を正確に把握しましょう。

  1. 本人に連絡し、事実を確認する
    何よりも先に、契約者本人に連絡を取りましょう。「管理会社から連絡があったけれど、どういう状況?」と、まずは事実を確認します。感情的にならず、滞納の理由や、本人に支払う意思があるのかを冷静に聞くことが大切です。
  2. 管理会社に詳細を確認する
    次に、連絡してきた管理会社に、滞納額、期間、これまでの経緯などを詳しく確認します。「本人と全く連絡が取れない」のか、「支払いの約束をしたが守られていない」のかで、状況の深刻さが変わってきます。
  3. 契約書を確認する
    手元にある賃貸借契約書の控えを探し、保証の範囲を定めた「極度額」がいくらに設定されているかを確認しましょう。これは、あなたが負う可能性のある最大責任額です。

考えられる4つの選択肢

状況が把握できたら、次の一手を考えます。

  • 選択肢①:立て替えて支払う
    最も早く事態を収拾できるのが、滞納家賃を立て替えることです。これにより、大家さんとの関係悪化や法的手続きへの移行を一旦は防げます。ただし、これはあくまで一時的な対応です。根本的な原因を解決しなければ、問題が再発する可能性があります。立て替える場合は、本人との間で返済についてきちんと話し合いましょう。
  • 選択肢②:本人に支払わせる
    本人に支払う意思と能力があるなら、それが最善です。「〇日までに自分で支払いなさい」と促し、支払いが完了したことをあなた自身も確認しましょう。
  • 選択肢③:分割払いを交渉する
    あなた自身も、一度に全額を支払うのが難しい場合があるかもしれません。その際は、正直に管理会社に相談し、分割払いに応じてもらえないか交渉する道があります。誠実な態度で相談すれば、応じてくれるケースも少なくありません。
  • 選択肢④:専門家(弁護士など)に相談する
    請求額が高額な場合や、契約内容に疑問がある場合は、一人で悩まず弁護士などの専門家に相談しましょう。法的な観点から、最善の解決策を一緒に探してくれます。

最も避けるべきは、連絡を無視することです。無視を続けても支払い義務はなくならず、最終的には給与差し押さえなどの法的な措置につながる可能性があります。

【滞納してしまった方へ】保証人への連絡を回避する最も有効な方法

「保証人には絶対に迷惑をかけたくない」

もしあなたが今、そう強く思っているなら、打つ手はあります。そのために必要なのは、一つのシンプルな行動です。

自分から管理会社に連絡を入れる

保証人への連絡を回避する最も確実な方法は、管理会社から連絡が来る前に、あなたから連絡することです。

気まずく、勇気がいることかもしれません。しかし、管理会社が最も困るのは、あなたと連絡が取れなくなることです。家賃が入金されず、電話にも出ない状況では、やむを得ず保証人に連絡するしかありません。

その前にあなたから一本電話を入れるだけで、状況は大きく変わります。

「〇〇号室の〇〇です。お世話になっております。申し訳ありません、今月分の家賃の件ですが、給料日の都合で〇日まで支払いが遅れてしまいます。〇日には必ずお支払いしますので、お待ちいただけますでしょうか。」

このように、①謝罪、②簡潔な理由、③具体的な支払い予定日、の3点を伝えることが重要です。これさえ伝えれば、管理会社も「事情は分かった。では〇日まで待ちます」と、理解を示してくれることがほとんどです。この一本の電話が、あなたの信用を守り、問題を大きくしないための鍵となります。